「オーナーさんの趣味ですか?」
2018.04.26
先日、リニューアル後の「ログコテージ」にご宿泊になった方に、
この部屋のインテリアは、「オーナーさんの趣味ですか?」と聞かれた。
不意を付かれた感じで、まったくうまく答えられなかった。
あれは、わたしたちの好みなのか?
そんなふうに考えたことがなかったのだ。
前オーナーから買い取り、
オーベルジュを立ち上げた16年前、
客室は事実上「ログコテージ」1室しかなかった。
他にもベッドがある部屋はたくさんあったが、
明らかに時代から取り残されていた。
事実上1室しかなかった客室は、
わたしたちの暮らしを支え、全体で5室に増えていたリニューアル前まで、
最も売上げを上げてくれていた人気の客室だった。
文字通り、オーベルジュメソンを象徴する客室を、
リノベーションしたのだ。
これまで宿泊いただいた方々、リピートいただく方々の、期待を裏切らない、
オーベルジュメソンのこれからの「王道」をどうつくりあげるか、
という課題は結構重いものだった。
「現役を引退したバラク・オバマの森の別荘」
そんな事を苦し紛れにいいだした。
苦し紛れだが、このコンセプトは、
これからのメソンの「王道」にはふさわしいと思った。
ここから、プランはスタートした。
でも誰も、オバマ氏の暮らしも好みも知らない。
輸入家具屋さん、アンティークショップや、古材屋さんなどを、
建築家とめぐりながら、少しずつプランが固まっていく。
工務店さんの提案もありながら、
できあがったのがいまの「ログコテージ」だ。
もちろん、最終的に〇×つけていったのは、わたしたちだが、
「あなたたちの趣味なのか」といわれると、
「わからない」という答えが正直なところだ。
判断基準は、わたしたち内部にあるのではなく、
「メソンをどう導いていくか」という外部にあるからだ。
「メソン」はわたしたちの所有物ではなく、
次世代に引き渡すべき「預かりもの」という感覚があるからだと思う。
選択したのは、まぎれもなくわたしたちだが、
「わたしたちの好み」が判断基準ではないということが、
この時の正確なお答えなのかなぁ?
まだ、どうもしっくりこない。