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Blog | 【公式】オーベルジュメソン|滋賀・何もしない贅沢を味わう籠れる宿 - Part 10

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私たちが考えるウエディングのこと。

2019.03.17

いま、ブライダル業界は混迷している。

 

少子化、婚姻数の減少に加え、

結婚式を実施する割合が減り、参加人数も減少の一途。

 

5年ほど前まで結婚式場は増え続けていたが、

少しづつ閉めるところがでてきているようだ。

継続しているところも、売り上げの維持に懸命なのだ。

 

創業から数年間、メソンの経営はウエディングの売り上げが支えてくれた。

でも、いつも新規を追い続けるこの部門は、

経営の安定には当てにはできないと、

ここ10年以上は宿泊部門にエネルギーも資金も投入してきた。

 

 

そんな今、オーベルジュメソンのウエディングサイトの

リニューアルの準備をはじめた。

 

こんな混迷の時期だからこそ、

私たちがウエディングに、あらためてきちんと取り組む意味があるんじゃないかと。

 

これまで、数百組の結婚式をともにしてきた経験から、

あらためていま考えていることをまとめた。

完成一歩手前の段階のサイト用の原稿だが、

お読みいただければと思う。

 


 

●見出し

「メインテーマは、感謝を伝えること」
「主催者は、自分たち」

ここからすべてを組み立てなおす、
新しいウエディングのかたち。

 

●本文 

「結婚式をする意味」がわかりにくくなってきている今。
私たちは、ウエディングの本質の捉えなおしが必要だと考えます。

 

結婚とは、お二人がそれぞれの家族から自立し、
新たな家族をつくること。

 

だから結婚式は、いわばお二人の「自立宣言」の場。

 

自身の成長に様々にかかわっていただいた方々を、
一堂にお招きし、これまでの感謝を伝え、
これからの生きていく道を見守っていただく。

 

ウエディングという大切な時間は、
そのための場とするということ。

 

そして、その場を自分たちでつくってみようと。

 

ここから一緒につくりあげていきたいのです。

 

 

<少しだけ非日常の、あらたまった空間と時間が必要です。>

 

オーベルジュメソンは、森の別荘地にあります。
ここに流れているのは、ゆったり流れる「森の時間」。

 

あたたかな空間、洗練されたお花、
多くの方々に「おいしい」と評価されているフレンチスタイルの料理。

 

そんな非日常の場と時間を設定することで、
日常では考えられない、
あらたまったメッセージが生まれてきます。

 

<ゲストとのコミュニケーションのための「4つのしかけ」>

・チャペルは対面式。
・パーティーは、ビュッフェスタイル。
・お二人のセンス+3つのスタイル。
 【モダン】【エレガンス】【シャビー】
・オーベルジュだから宿泊可能

 

 It’s your style wedding.

 

 

<「主催者」の想いをかたちにするのは、むずかしくない。>

 

オーベルジュメソンがウエディングを手がけてから、
すでに数百組。
お二人からじっくりお話しを伺いながら
「新たなウエディングのかたち」に挑んできました。

 

ですから、外部パートナーとともに、
経験はたくさん蓄積していますが、
いつも新鮮に向き合います。

 

お二人にとって、
とても素直なきもちで臨める、
本当のウエディング。

 

ごいっしょにつくりあげるお手伝いを、
これからもずっと。

 

旅から湧く妄想。

2019.03.10

この2月に中欧の3都市に旅行した。

 

この期間、「トラベロコ」というサイトを通じて、

そのエリアに在住する日本人の方々と、

1回ずつ食事をともにしていただいた。

 

下記は、その中のお一人に日本に戻ってからお送りした、

メールの一部です。

 


 

大変お世話になりました。

日本に帰ってから、仕事復帰まで中2日とりましたので、
なんとか正常な状態に戻れそうです。

 

宿泊業を営む私たちが、あらためて痛感したことは、
どの土地を訪れるのであれ、
旅の良し悪しの評価のベースは、

食事・ホテル・人が占める割合が非常に高いのだということ。
つまり、宿泊施設は決定的要素をになっているということです。
(私たちのオーベルジュは、原則2食付きでしか予約を受け付けません)

 

この感覚に、かなりドキッとしました。
私たちは、こんな重い覚悟で日々仕事をしていたか、という感じでしょうか。

 

今回、ブダペスト→ウイーン→プラハの3都市、4つのホテルで宿泊しました。
うち3つのホテルは、日本の旅行代理店の低価格のフリープランによるチョイス。

そんな旅だったこともあってか、
上記のようなことを強く思うのかもしれません。

 

母国語圏が、非常に狭い日本人にとって、
外国旅行はつらいものがあります。
その意味で、日本人にによる日本語の旅のアドバイザーの存在は、とてもありがたい。
旅の良し悪しを決めかねない、「人」がそこにかかわってくれるからです。

 

もちろん、個人差はあると思いますが、
レストラン、宿泊も含め、比較的安価な施設ほど、
おおよそスタッフに「私の収入は、あなたの支払いが源泉になっている」

という感じを持ちません。

その国あるいは地域がもつ「働くこと」にたいする、

ある「基礎」ができあがってしまっているのでしょう。

そこに、会話が成り立ちにくいという要素が加わります。

 

日本人がヨーロッパを旅する「苦行」は、施設的な要素もあります。
「公衆的トイレが有料」「ウォシュレットがない」「バスタブがないホテルがある」…。

 

「自分たちが、日本人のくつろぎにふさわしいホテルをつくったらいいんだ!」
今回の旅で、強く思ってしまったわけです。
私たちには、そのための経験はあると。

 

宿泊施設できちんと経営は成り立たせつつ、
音楽やバレエなどで留学してくる若い日本人の「下宿」的な要素も

併設できたらいいなぁなどと妄想も…。
(旅の出発直前に「のだめカンタービレ」を見ていたわけです。)

 

いまのオーベルジュ同様、ゆっくりとリニューアルを繰り返し、
経営を安定させていくような流れになるでしょう。
ウイーンの歴史や文化を大切にしながら、
日本人にとって心地のいい施設に仕上げていく。

 

 

飛行機に乗ることをできるだけ避けたい私が、
多様な文化を楽しめる大陸に居を移せることは、
何よりの楽しみです。

 

これまでの経験を活かしながら、
これからのゆったりした暮らしと、経営をきちんと両立させる方法として、
実現の可能性を模索していきたいと思います。

 


 

と、妄想しているのは楽しいものです。

ビル・エバンス!

2019.02.10

「ワルツ・フォー・デビー」

ピアノ/ビル・エバンス

 

1961年、ニューヨーク「ヴィレッジ・ヴァンガード」で、

録音されたジャズトリオのライブ。

観客の笑い声・拍手はもちろん、グラスの中の氷の音まで聞こえる。

 

ジャズの世界に初めて触れたのは、大学1年の頃。

あるとき同学年の友人が住む、「一つ星寮」という風変わりな名前の下宿へ。

夜に訪れた彼の部屋は、うす暗い照明、香が焚かれ、音楽が静かに流れていた。

そして酒。

これまでのぼくの育った環境には、何ひとつなかったものが、そこにはあった。

「なんだここは!」

 

その時流れていたのが「ワルツ・フォー・デビー」。

とても落ち着けた。

「これが大人の世界か…」

 

それから40年近く。

ビル・エバンスのCDは、20枚ほどある。

ジャンルは様々だが、数百枚あるCDの出発点はここにある。

 

今でもぼくにとってのベストなCDは、これかもしれない。

大学に入った意味のひとつは、このCDとの出会いだったともいえる(笑)。

 

「大人な音楽」の入口、ジャズの入口として、ふさわしい1枚。

なかでも1曲目「マイ・フリッシュ・ハート」がすばらしい。

 

 

神の眼を持つ写真家

2019.02.10

「Genesis ジェネシス(起源)」(Taschen)

セバスチャン・サルガド

 

なんと、500ページを超える写真集。

この人を知ったのは、3、4年前の映画館のチラシから。

ヴィム・ヴェンダース監督「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」という

ドキュメンタリー映画だった。

 

調べてみると、ブラジルの報道写真家で、環境運動家。

戦争・労働・地球などをテーマにした、

有名なカメラマンのようだ。

 

閉所に行くと息苦しくなるぼくは、映画館にいく気にはならないのだが、

掲載されていた写真に強くひかれた。

しばらく、この人を忘れてしまわないように、

このチラシは冷蔵庫にはっつけておいたのだが、

期限切れの扱いをうけ、いつしかなくなったいた。

 

しばらくして、東京の某デパート。

ブラジルフェアのようなイベントの一角に、

この人の「genesis」が。

「おー。とうとう出会ってしまった!」

だが、あまりの重厚さに、買って帰る気にはなれず、

別ルートで入手したのだ。

ちらっとでも、中を見ていただきたい。

 

ある瞬間が訪れるまで、膨大な時間を費やす人だけに備わる

「神の眼」が実感できるはずだ。

 

 

メソンスタートの著。

2019.02.08

「インターネット的」(PHP新書)

糸井重里・著

 

「メソンは、IT産業です」と、ことあるごとに言い続けてきた。

 

この本が発行されたのは、2001年7月。

私たち夫婦が、メソンの土地・建物を購入したのが2002年7月。

(前オーナーから中古物件を買ったわけです)

 

発行の頃、ぼくは京都で印刷出版業の会社に勤めていた。

オタクな世界だったパソコン通信から、インターネットへの移行期で、

関連業界の周辺は、インターネットの登場で、紙媒体や本はこれからどうなっていくのか、

という予測が激しく行われていた時期だ。

 

ぼくの仕事は、組織や個人がもっている情報を、

ある目的を実現するために再編集し、媒体へ落とし込むことだと思っていたので、

「媒体が違うだけでやることは同じ」なんてぐらいに思っていた。

 

この本が出版される少し前に、いわゆる「ほぼ日」が立ち上がっている。

当時は文字通り、糸井さんが毎日更新する「日記」のようなものだけがあるようなサイトだった。

「とにかく様々な人たちが行きかう『にぎわい』をつくるんだ」というようなことを語られていたことが記憶にある。

 

広告に予算を組めないメソンの創業時代。

どんなサイトを作るかだけが、死活のかかったテーマだったわけだ。

以来、糸井さんの発言や行動を、「存亡」をかけてときどきに見続けてきた。

 

「誠実であること」

これが僕にとっての最大の「教え」かもしれない。

リノベーションの素。

2019.02.03

「Things We Made ローマン アンド ウイリアムスの軌跡」(グラフィック社)

 

上の写真を見つけたのは、去年の始め。

「ログコテージ」の工事に入る前、

プランの最終の詰めをしているころだったか。

 

飛行機に乗るのがとても苦手。

できれば家に籠っていたい僕(妻は対照的な人間です)が、

2年に1度は大きなリノベーションを繰り返すプランのイメージをつくる基にするのは、ネットの画像検索だったりするときも。

その時に出てきたのがこのお店。

 

トラディショナルからインダストリアル。時代や地域。

様々なものが融合したデザインが、とてもメソン的な感じがしたのだ。

 

ハリウッドで美術監督としてキャリアを積んだのち、

ニューヨークを拠点にデザイン会社を設立。

この店舗は、初めてオープンした自身のショップ。

オリジナルデザインの家具・雑貨や、フラワーショップ、カフェを併設する。

 

「この人たちの作品集が出版されているらしい」という妻の言葉に促され、即座にオーダー。

この冬開始する、小さな工事の素はここからなのです。

あなたのいちばんたいせつなものをさがしにゆきませんか?

2019.01.31

下の娘が本屋さんでこんな絵本を見つけてきました。

「メソンに置いたら?」と。

 

「森の絵本」(講談社)

長田 弘・作

荒井良二・絵

 

・・・きみにとって だいじなものは 何?

「すきなひとの 手を にぎると わかる」

その声は いいました。

「ほら、こんなに あたたかい。だいじなものは その あたたかさ」

 

・・・きみにとって たいせつなものは 何?

「すきなひとの 目を 見れば わかる」

その声は いいました。

「ほら、その人の 目のなかに きみがいる」

 

「森へ ゆこう」

その声は いいました。

「いちばん だいじなものが 森のなかに ある。

きみの いちばん たいせつなものが ある」

 

 

今日は、僕が読みました。

明日からメソンのライブラリーに並びます。

 

「トラベラーズチョイス™ ホテルアワード2019」全国Top10にランクインしました。

2019.01.26

 

世界最大の旅行口コミサイトTripAdvisor
トラベラーズチョイスホテルアワード

<2019年 小規模ホテル部門>全国10位を受賞しました。

2013年から6回目の受賞となります。

 

1位 Mume(京都府)

2位 白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館(長野県)

3位 5千尺ホテル(長野県)

4位 アルカナ イズ(静岡県)

5位 ラ・ジョリー元町 by WBF

6位 アンシェントホテル浅間 軽井沢(長野県)

7位 サンカラホテル&スパ 屋久島(鹿児島県)

8位 星野リゾート 界 松本(長野県)

9位 汀邸 遠音近音(広島県)

10位 オーベルジュメソン(滋賀県) 

11位 奥の院 ほてる とく川(栃木県)

12位 湯宿 だいいち(北海道)

13位 那須陽光ホテル(栃木県)

14位 ウィズ ザ  スタイル福岡(福岡県)

15位 ホテル富貴の森(長野県)

16位 リバーリトリート雅樂倶(富山県)

17位 別邸 仙寿庵(群馬県)

18位 箱根エレカーサ ホテル&スパ(神奈川県)

19位 ホテル うみね(大分県)

20位 温泉寺 夢殿(山梨県)

21位 クラスカ(東京都)

22位 百名伽藍(沖縄県)

23位 サニーデ・リゾート(山梨県)

24位 星野リゾート 界 熱海(静岡県)

25位 ザ・テラスクラブ アット ブセナ(沖縄県)

 

詳細はこちらから。

 

 

 

【これまでの受賞歴】


<2018年 小規模ホテル部門>

1位 Mume(京都府)
2位 アンシェントホテル浅間 軽井沢(長野県)
3位 五千尺ホテル(長野県)
4位 オーベルジュメソン(滋賀県)
5位 サンカラホテル&スパ 屋久島(鹿児島県)
6位 白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館(長野県)
7位 アルカナ イズ(静岡県)
8位 フェニックスホテル(長野県)
9位 奥の院 ほてる とく川(栃木県)
10位 ザ・テラスクラブ アット・ブセナ(沖縄県)
 
 
<2018年 ファミリー部門>
 
1位 クラブメッド石垣島(沖縄県)
2位 ホテルユニバーサルポート(大阪府)
3位 ホテル日航アリビラ ヨミタンリゾート沖縄(沖縄県)
4位 東京ディズニーランドホテル(千葉県)
5位 ヒルトン東京ベイ(千葉県)
6位 ヒルトン沖縄北谷リゾート(沖縄県)
7位 ホテルオークラ東京ベイ(千葉県)
8位 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県)
9位 東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ(千葉県)
10位 フレーザーレジデンス南海大阪(大阪府)
11位 ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府)
12位 ホテル オリオン モトブ リゾート&スパ(沖縄県)
13位 オーベルジュメソン(滋賀県)
14位 オキナワスパリゾートエグゼス(沖縄県)
 

<2016年 ファミリー部門>

1位  ホテル日航アリビラヨミタンリゾート沖縄
2位  シェラトン・グランデ・トーキョー・ベイホテル
3位  東京ディズニーランドホテル
4位  ホテルモントレ沖縄スパ&リゾート
5位  ヒルトン東京ベイ
6位  カフーリゾートフチャク コンド・ホテル
7位  東京ディズニージー・ホテルミラコスタ
8位  ホテルユニバーサルポート
9位  クラブメッド北海道
10位  ANAホテルインターコンチネンタル万座ビーチリゾート
11位  ホテルエミオン東京ベイ
12位  JALプライベートリゾートオクマ
13位  オーベルジュメソン

 

<2015年 ベストサービス部門>

1位  ホテル ムメ
2位  フォーシーズンズホテル丸の内 東京
3位  パークハイアット 東京
4位  アンシェントホテル浅間 軽井沢
5位  帝国ホテル東京
6位  村のホテル 住吉屋
7位  マンダリン オリエンタル 東京
8位  アクアアルパインホテル
9位  ザ・キャピトルホテル東急
10位  シャングリラ ホテル 東京
11位  ダブルブラックホテル
12位  南洲館
13位  ホテル龍名館東京
14位  倭乃里 
15位  東京ステーションホテル
16位  セント レジス ホテル 大阪
17位  白馬リゾートホテル ラ・ネージュ東館
18位  パレスホテル東京
19位  オーベルジュメソン
 
 
<2015年 ファミリー部門>

1位  ホテル日航アリビラヨミタンリゾート沖縄
2位  東京ディズニーランドホテル
3位  シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
4位  カフーリゾートフチャク コンド・ホテル
5位  ヒルトン東京ベイ
6位  ホテルオークラ東京ベイ
7位  東京ディズニージー・ホテルミラコスタ
8位  ホテルモントレ沖縄スパ&リゾート
9位  ホテルエミオン東京ベイ
10位  ザ・ブセナテラス
11位  ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート
12位  ホテルユニバーサルポート
13位  オーベルジュメソン

 

<2014年 ファミリー部門>

1位  ホテル日航アリビラ ヨミタンリゾート沖縄
2位  ヒルトン東京ベイ
3位  オーベルジュメソン
 

 

<2013年 ベストサービス部門>

1位  ホテル ムメ
2位  フォーシーズンズホテル丸の内 東京
3位  パークハイアット 東京
4位  プライベートステイホテルたちばな
5位  アクアアルパインホテル
6位  オーベルジュメソン

「客室ノート」の謎。(その2)

2019.01.11

(できれば、 「客室ノートの不思議。(その1)」 からお読みください。)

 
もうずいぶん前の話になるが、
とある旅行の口コミサイトで、
日本ナンバーワンの高い評価をうけていた
京都の小さなホテルのオーナーに
どうしてそんなことがなるのか、
話をうかがいに行ったことがある。
(今は小規模ホテル・世界No.1!)
 
そこは、メソンとたいして客室数は変わらないのに、
口コミ数も多いのだ。
 
そのオーナーは、「特別なことはなにもしていない。
外国人の宿泊客が圧倒的に多いことが要因だと思う」と語っていた。
 
「インバウンド」なんて言葉が、日本になかった頃、
外国からの旅行者を強く意識して、
中~高価格帯のアジアンテイストのB&Bを、
宿泊業界未経験の独身女性が祇園の骨董街につくった施設だ。
 
それが見事に当たった。
そのころで外国人が9割程度を占めていたように思う。
 
「日本人は、口コミサイトで評論・評価しようとするが、外国人は感謝を投稿する。
だから自然と評価が高くなり、数も増え、
ランキングが日本ナンバーワンになっているだけだ」と。
 
そのころメソンは、この施設にランキングで肉薄していた。
でも、この施設がある限り、日本ナンバーワンにはなれないとも思っていた。
 
おそらく、このオーナーがおっしゃるとおり、
外国人旅行者に、事実上門戸を閉ざしているメソンでは、
難しいのだろうと思ったのだ。
 
 
 
そこで、「客室ノート」。
 
 
この正月にスタートした試みでは、
宿泊組の半数程度が記入されている。
 
この割合の高さには、驚かされる。
内容は、メソンのあらゆる面での素晴らしさ!と、感謝の表明!だ。
 
ご記入いただくみなさんからすれば、
まったく「匿名性」がない状態でお書きになるわけなので、
どうしても高評価寄りになるのはやむを得ない。
 
「書かない」という選択肢は当然あるわけで、
おそらく「書くという行為」には、なにかしらのモチベーションが必要になる。
 
我が身に置き換えてみると、
「感謝」を表明するに足りる体験がそこにあったということなのだろうと推察できる。
(あるいはクレームの嵐か?)
 
ここ1~2年、宿泊サイトや口コミサイトへの投稿が、
極端に減っている。
SNSという個人がメディアをもつ時代。
口コミサイトの地位が低下しているのだと、一般的には評される。
 
投稿される側からみると、「投稿に至るレベルの仕事に至っていないのかもしれない」
というマイナス思考も働く。
反応がわからなくなってるというのは、少しつらいものがあるのだ。
 
 
そこに「客室ノート」が登場した。
評論ではない、素直な気持ちを手書きで伝えていただけるメディアができたのかもしれない。
 
高評価へのブレを念頭に置きつつも、
それは、働いている人間のモチベーションに確実につながる。
 
ここでの内容は、ランキングとは無縁だが、
私たちにとってとてもうれしいメディアになるのかもしれない可能性がある。
 
 
ですから、ご宿泊されるみなさん。
心優しい内容をご記入ください。
心よりお待ちいたしております。

「客室ノート」の謎。(その1)

2019.01.11

新年の1月1日から、新たな試みとして「客室ノート」を設置している。
 
最近はどこの宿泊施設にいっても、ほとんどみかけない。
かつて「ペンション」などの、
宿泊施設側とお客さんとの距離の近い施設で、
見かけていたものだ。
 
これは、妻が言い出し、元日にとつじょ客室に置かれた(らしい)。
ぼくは正直なところ「どうなるのやら」と少し冷ややかに見ていた。
 
次の日から「ノートにこんな内容が書かれていた」という報告が、
日々入る。
「えっ!そうなの?」
それから数日して、ある部屋のノートを見にいった。
 
そこには、こんなことが書かれていた。
 
 
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この3月に入籍予定の2人で泊まりにきました。
今日は私の誕生日で、彼が予約してくれました。実は、私には3歳になる息子がいて、今回が2度目の結婚です。
息子のことも大きな心で受け入れてくれる彼と2人で
こんな素敵なところに来られて本当に幸せです。
コテージもあるようで、今度は息子と私と新しい夫と、

今一緒に住んでいる母と4人で来たいです。

大阪から来たのですが、

近くに都会を忘れられるおしゃれで自然がもりもりの場所があって
うれしいです。
今は冬ですが、夏に来られたらもっと雰囲気が違って
また素敵かなと思います。
このノートの1ページ目に、

今日の素敵な感想を書けたことを特別に感じています。

メソンさんにとっても、ここに来られたみなさんにとっても、

そして私たちFamilyにてとっても、

幸福な1年となりますように願っています。

本当にありがとうございました。
 
────────────────────────────
 
 
いろんな意味で、びっくりした。
このお二人、結婚はされていないカップル。
どちらもおしゃれで、クールな感じにお見受けしていた。
 
率直にご自身のことを語られ、彼への感謝とともに、
メソンへのメッセージも表明されている。
 
なにより素晴らしいのは、こんなに素直に気持ちを表現される
この女性ご自身なのだが、それを促したこのノートには、
魔力のようなものが潜んでいるのか?
 
このメッセージを見た後、
あらためて妻に、あのノートの意図はなんなのか聞いてみた。
朝のあいさつを含め、お客さん同士がなにかしら会話されていると、
その場がとてもいい雰囲気になる。
そんなちょっとしたコミュニケーションが
促せるようなことができたらいいな、ということらしい。
 
僕たちはメソンの仕事の本質は、
「それぞれの物語をもつ大切な人と、
ある意図をもってお過ごしになる時間の邪魔をしないこと」
といっている。
 
実はこの言葉、まだ自分自身が納得いくレベルに達していない。
 
この「客室ノート」。
これからのメソンが進んでいく道を
示してくれるようになるのかもしれません。